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血液透析hemodialysis

「重症の腎疾患の患者様(犬・猫)に希望を…
私たちが最後の砦に」

犬猫の腎不全に対して
当院では血液浄化療法(血液透析療法)を行っております

血液透析療法は腎臓の働きが低下した腎障害(腎不全)がある動物(犬・猫)に対して、 血液中の老廃物や余分な水分を取り除く腎代替療法の1つです。
おしっこが出ないなどの急性の腎障害(急性腎不全)に対する血液透析治療は 静脈点滴治療などをしても反応しない場合には有効な治療法といえます。

当院では、2022年から血液透析療法を開始しました。
実際に、これまでは救命できなかった腎障害の動物(犬・猫)を救うことができるようになり、その有効性を実感しています。
特に感染症(レプトスピラ症)では、血液透析治療による成績は高い傾向にあります。
また、当院は24時間救急診療も行っているために救急症例にも対応可能です。
急性腎不全が疑われる場合は(おしっこが出ないなど)緊急連絡先へお電話ください。

血液浄化療法(血液透析療法)とは

主な手法

血液浄化療法にはいくつかの方法がありますが、主なものは以下の通りです。

  1. 血液透析
    血液を半透膜を通じて浄化する方法で、老廃物や余分な水分を取り除きます。主に腎不全患者に適応されます。
  2. 血漿交換
    異常な自己抗体や中毒物質を含んだ血漿を除去しながら、ドナーから採取した清浄な血漿または代替物質を戻す方法です。中毒、自己免疫疾患などに効果的です。

状態悪化前の早期の治療が大切です

血液浄化療法(血液透析療法)の適応症

対象

  • 犬・猫

血液透析

  • 犬のレプトスピラ症
  • 急性腎障害(BUNが100mg/dLを超える例)
  • 尿が十分に出ない乏尿・無尿の状態(特に高カリウム血症や水分の過剰負荷)
  • 慢性腎臓病の急性増悪期
  • 各種中毒
  • 体に強い炎症を伴う疾患(腹膜炎や全身性炎症反応症候群)

血漿交換

  • 免疫介在性疾患(免疫介在性溶血性貧血、免疫介在性血小板減少症、重症筋無力症)
  • 血液の粘稠が過剰になる疾患(過粘稠症候群)
  • 肝不全などよる高ビリルビン血症(> 25mg/dL)
  • 各種中毒(NSAIDs、その他薬剤中毒など)

費用

透析治療には麻酔や中心静脈へのカテーテル挿入などの事前処置、血液浄化治療、治療中の血液検査など多くの検査や処置を行う必要があります。
そのため費用は決して安くない治療となります。

費用など詳しい内容はお問合せください。

治療例

例1.レプトスピラ症の犬 例2.レプトスピラ症の犬 例3.急性腎不全の猫 例4.急性腎不全の猫
体重 8.1kg 27kg 5.2kg 3.2kg
入院日数 10日 3日 14日 6日
血液浄化治療回数 1回 2回 2回 1回
  • 中心静脈カテーテル:27,500円 ・血液浄化療法:165,000円/1回

※価格は全て税込
※別途麻酔費、入院費、投薬費などがかかります

リスク

血液透析療法では、麻酔やカテーテルの挿入時の血管損傷、感染症のリスクなどが考えられます。
ご不明な点はお問合せください。

急性腎不全は急速に状態が悪くなり、数日で命を落としてしまうこともある重篤な疾患です。

年齢など関係なく急性腎不全に陥る可能性があるため、
飼い主さんが日常的にペットの様子をチェックしいち早く異常に気づき、受診することが大切です。

急性腎不全が疑われる症状がみられた場合は、すぐに緊急連絡先へお電話ください(0742-48-4111

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